社会保険労務士試験ガイド
社会保険労務士試験は毎年1回実施。厚生労働省認定の国家資格です。
※試験制度その他は、変更になる可能性があります。
※受験資格に関する詳細は、上記「全国社会保険労務士会連合会 社会保険労務士試験センター」まで、お問い合せください。
社会保険労務士試験ガイド
合格発表までの流れ
例年4月中旬より社会保険労務士試験センターにて配布。郵送による取得も可能。
例年4月下旬〜5月下旬申込。郵送申込も可能。(必ず願書の内容を確認してください)
例年8月第4日曜日
試験時間
選択式/10:30〜11:50(1時間20分)
択一式/13:20〜16:50(3時間30分)
※第51回(令和元年度)社会保険労務士試験時間
例年11月中旬。合格者には合格証書を郵送するほか官報で合格者の受験番号を発表。
試験概要
【受験料】
(令和元年度) 9,000円(消費税込)
【受験資格】(主なもの)
●学校教育法(昭和22年法律第26号)による大学、短期大学、高等専門学校を卒業した者。
●上記の大学(短期大学を除く)において62単位以上を修得した者。
●修業年限が2年以上で、かつ課程の修了に必要な総授業時間数が1,700時間以上の専修学校の専門課程を修了した者。
●社会保険労務士若しくは社会保険労務士法人又は弁護士若しくは弁護士法人の業務の補助に従事した期間が通算して3年以上になる者。
●国又は地方公共団体の公務員として行政事務に従事した期間及び特定独立行政法人、特定地方独立行政法人又は日本郵政公社の役員又は職員として行政事務に相当する事務に従事した期間が通算して3年以上になる者。
●下記、厚生労働大臣が認めた国家資格に合格した者。
◎国家公務員採用試験Ⅲ種(行政事務および税務に限る) ◎国税専門官採用試験 ◎国立国会図書館職員採用Ⅰ種、Ⅱ種およびⅢ種試験 など ○司法書士試験 ○行政書士試験 ○土地家屋調査士試験 ○中小企業診断士試験 ○情報処理技術者試験(一部を除く) ○気象予報士試験 など
◎…採用試験 ○…資格試験
※受験資格に関する詳細は、社会保険労務士試験センターまでお問い合わせください。
【試験地】(令和元年度)
北海道、宮城県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、石川県、 静岡県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、岡山県、広島県、香川県、 福岡県、熊本県、沖縄県の19都道府県
【合格率の推移】
【試験科目と出題数】
●選択式
8題出題。各問ごとに5つの空欄があり、その空欄を、与えられた選択肢(20個)の中から選んで埋める。
選択式80分 | 択一式3時間半 |
---|---|
1問 | 労働基準法(7問) および 労働安全衛生法(3問) |
3つの法律から2問 | 労働者災害補償保険法(7問) および 徴収法(3問) |
雇用保険法(7問) および 徴収法(3問) | |
2問 | 労務管理その他労働に関する一般常識(5問) |
および 社会保険に関する一般常識(5問) | |
1問 | 健康保険法(10問) |
1問 | 厚生年金保険法(10問) |
1問 | 国民年金法(10問) |
合計8問 | 合計70問 |
※労災法と雇用保険法には、保険料の徴収などに関する法律を含みます。
●択一式
1科目10問で7科目(計70題)出題。5肢択一。
【合格基準】
平成30年度の合格基準は、次の2つの条件を満たした者を合格とする。
①選択式試験は、総得点23点以上かつ各科目3点以上(ただし、「国民年金法」及び「社会保険に関する一般常識」は2点以上)である者。
②択一式試験は、総得点45点以上かつ各科目4点以上である者。
※上記合格基準は、試験の難易度に差が生じたことから、昨年度試験の合格基準を補正したものである。
【配点】
①選択式試験は、各問1点とし、1科目5点満点、合計40点満点とする。 ②択一式試験は、各問1点とし、1科目10点満点、合計70点満点とする。
【社労士試験DATA】(平成30年度 第50回)
【お問い合せ】
社労士試験出題形式
「選択式」と「択一式」のマークシート形式の試験。
社労士試験には「選択式」と「択一式」の2つの出題形式があり、例年毎年8月の第4日曜日に開催されます。 平成30年の本試験では、下記の合格基準を満たした受験生が合格となりました。
選択式(平成30年)
試験時間:80分 10:30〜11:50
文章中の5つの空欄に当てはまる語句および文章を20の選択肢から選ぶ(=選択式)試験です。労働科目、社会科目から各4問ずつ、計8問出題されます。
労働科目から4問出題 、社会科目から4問出題
労働基準法および労働安全衛生法(1問)
労働者災害補償保険法(1問)
雇用保険法(1問)
労働管理その他の労働に関する一般常識 および社会保険に関する一般常識(2問)
健康保険法(1問)
厚生年金保険法(1問)
国民年金法(1問)
計8問出題(40点)
- ■配点
-
各問1点とし1科目5点満点 合計40点満点
- ■合格基準
-
選択式試験は、総得点23点以上かつ各科目3点以上(ただし、社会保険に関する一般常識および国民年金法は2点以上)である者
※平成30年度 第50回より
択一式(平成30年)
試験時間:210分 13:20〜16:50
5つの文章の中から1つを選ぶ(=択一)試験です。労働科目、社会科目から各35問、計70問出題されます。
労働科目から35問出題 、社会科目から35問出題
労働基準法(7問)および 労働安全衛生法(3問)
労働者災害補償保険法(7問) および徴収法(3問)
雇用保険法(7問) および徴収法(3問)
労働管理その他の労働に関する一般常識(5問) および社会保険に関する一般常識(5問)
健康保険法(10問)
厚生年金保険法(10問)
国民年金法(10問)
計70問出題(70点)
- ■配点
-
各問1点とし1科目10点満点
合計70点満点 - ■合格基準
-
択一式試験は、総得点45点以上かつ各科目4点以上である者
※平成30年度 第50回より
社労士試験科目分析
誰でもができる基本事項をしっかり押さえることが重要。
社労士試験はいわゆる絶対得点で合否が決まる試験ではなく、全体の中での競争試験ですので、難易度の高い箇所についてはそれほど神経質になる必要はありません。ただし、他の受験生がしっかり押さえてくる基本的な事項については、ご自身でもしっかりとした理解をもとに確実に得点を重ねる結果が出せる力を養う学習が求められる試験です。
労働科目
労働基準法
労働者を守るための法律です。会社員の方は馴染みが深い方も多いと思います。年次有給休暇や労働時間、賃金や就業規則等についての法律をしっかり学習します。実務的に重要な賃金や就業規則の部分からは事例問題も出題されます。近年では、条文以外に通達と呼ばれる行政の内部文書や判例から出題されるケースも多い為、難易度の高い科目の一つです。単純な条文の暗記ではなく、理解中心の学習が望まれます。択一式問題は7問出題され、次の労働安全衛生法と合わせて10問構成です。また、選択式問題については、労働基準法と労働安全衛生法がセットで5つの穴を埋める形式になっています。
労働者災害補償保険法
労働者が業務上や通勤途中においてケガをしたり病気になった場合に、事業主による労働基準法上の災害補償を国が行ってくれるという制度です。近年の出題傾向としては、基礎的な知識がしっかりと身についていれば、点数を獲得することが難しい内容ではありません。各種給付の要件や内容をしっかり押さえた上で、それ以外のところも幅広く理解することが大切です。
労働保険徴収法
労働者災害補償保険と雇用保険を維持するために、事業主と被保険者(労働者)から保険料が徴収されています(皆さんのお給料からも、雇用保険料が控除されていると思います)が、その保険料の徴収の仕組みについて学習します。保険料の計算問題が出題される年もあります。択一式問題では、労働者災害補償保険法の問8から問10までの3問、雇用保険法の問8から問10までの3問、合計6問出題されます。出題内容は平易なものが多く、過去の本試験問題をしっかりマスターしておけば、満点に近い点数を獲得することも十分に可能な出題傾向が続いています。是非とも得点源にしたい科目です。選択式問題の出題はありません。
労働安全衛生法
労働基準法から分離した法律で、労働者を危険(安全)や健康障害(衛生)から守るために作られた法律です。皆さんご存知の健康診断は労働安全衛生法に規定されています。択一式3問のうち、例年1問は安全衛生管理体制から出題されます。年度によって難易度に差があることがありますが、学習範囲を絞った上で2点を確保する学習方法が有効だといえます。基礎の学習をしっかりしておくと、選択問題にも柔軟に対応することができます。
雇用保険法
労働者が失業した時に支給される「基本手当」は、退職・転職の経験のある方にはおなじみの制度でしょう。その他にも、高齢者でありながら働く方を応援するための制度(高年齢者雇用継続給付)や育児休業をする労働者を応援する制度(育児休業給付)、教育訓練を受けた場合に国がその費用の一部を補助してくれる制度(教育訓練給付)も雇用保険法に定められている制度です。基本的な知識がしっかりしていれば自信をもって解答できる問題が多いです。また、数字を論点とされる出題が多いのも雇用保険法の特徴で、特に選択式問題では、数字が問われることが多いのでしっかり押さえましょう。
労務管理その他の労働に関する一般常識
これまでに出てきた法律以外の労働者に関する法律全般について学習します。代表的なものには、育児・介護休業法や男女雇用機会均等法、労働者派遣法などがあります。また、労働者に共通する社会情勢に関する問題(労働経済白書からの出題)や、労務管理に関する出題も見られます。労働経済白書からの出題は、失業率や障害者雇用率といった事項、また労務管理については、人事考課や退職金制度といった事項も出題対象となります。扱う法律数が多いことと、カバーする範囲が広いことから、出題予想をすることは困難ですが、他の科目と同様、基本的な知識がしっかりしていれば、本試験問題に対応することが可能です。高得点を望む学習よりも要点を押さえて必要最低限の得点を確保する方針で臨むとよいでしょう。
社会保険科目
健康保険法
皆さんが普段使っている健康保険証は、健康保険法という法律に基づいて発行されているものです。保険料を払うことによって安い料金で医療にかかることができる制度です。仕事以外の理由によってケガや病気になった時に医療費を国が援助するための法律です。ケガだけでなく、出産や死亡についても給付が行われますので、日常生活と直結しているのが健康保険法の特徴といえます。平成11年までは平易な出題傾向が続いていましたが、平成12年以降、急激に難化傾向を見せています。出題確率が最も高いのは保険給付ですが、全範囲にわたってまんべんなく出題されるのが健康保険法の出題の特徴ですので、幅広く学習することが望まれます。また、近年は選択式問題も含めて、法改正事項からの出題が多くなっていますので、改正事項をしっかり押さえれば得点アップにつながります。
厚生年金保険法
会社員や公務員の方が加入している年金制度が厚生年金保険です。国民年金と同じように、老齢・障害・死亡という大きな保険事故について、どのような保険給付が支給されるのかという制度の仕組みを中心に、国民年金との対比学習を行うことが効率的な学習につながります。改正の都度、複雑さが増し、難しい問題が多くなっていますが、まず、全体をとらえ、その後、経過措置等を丁寧に学習していけばきちんと得点できます。
国民年金法
自営業者の方や会社員、公務員の方が加入している年金制度が国民年金です。老齢・障害・死亡という大きな保険事故について、どのような給付が支給されるかといった制度の仕組みをはじめとして、年金財政や歴史についての学習も行います。択一式の問題については、難易度が低く得点源とする受験生も多かったのですが、度重なる改正で制度自体が複雑化された影響で、近年は難易度が上がってきました。
社会保険に関する一般常識
これまでの社会保険科目以外に関する法律が出題対象となります。年によっては、これまでの社会保険科目の中から重ねて出題されることもあります。社会保険に関する一般常識という科目名からもわかる通り、社会保険に関した様々な分野(医療、介護、年金、高齢化、財政等)から出題されます。厚生労働白書も出題対象となります。労務管理その他労働に関する一般常識と同様に、出題対象となる範囲が非常に広く、あまり深入りすることなくまんべんなく学習することが効率的でしょう。択一では「労務管理その他労働に関する一般常識」が得点し難い分こちらの科目で得点できるようにしましょう。